「トーンオイルヌメ」シリーズに使用しているのは、土屋鞄のオリジナルレザー「オイルヌメ革」です。植物の渋だけで鞣した丈夫な革は、天然の刻印やシボ模様など豊かな表情に富み、何年も使い込んだようなアンティックな風合いが特徴。
さらに通常の約3倍ほどのオイルを含ませているため、しっかりとコシを残しながらも、おろしたての革とは思えないほど柔らかいのが魅力です。しっとりと優しい手触りが心地良く、革とオイルの醸し出す芳醇な香りも楽しめます。
革のお手入れ時間 Vol.1 Tone OILNUME
TIME FOR LEATHER CARE
革のお手入れ時間
Vol.1
Tone OILNUME
「革の種類によって、お手入れ方法は違うものなの?」ーーそんな疑問にお応えして、土屋鞄のシリーズごとに革の魅力とお手入れポイントを連載でご紹介します。
ブラッシングやオイルケアなど、どんな革でも基本のお手入れは大きく変わりません。ただ革の特徴や製品の仕立てに合わせてケアができると、不思議と使い心地も愛着もぐんと深まるもの。
今回は、土屋鞄で長く愛されている「トーンオイルヌメ」シリーズから。愛用の鞄や小物を用意して、お手入れのひとときを過ごしませんか。
1.「オイルヌメ革」とは
使い込んでいくと、色もつやも、柔らかさもぐんぐん増して、何とも言えない風合いに熟成。そんなエイジングの楽しみも詰まった、こだわりのレザーです。
2. お手入れのポイント
では、「オイルヌメ革」の特徴に合わせたお手入れをしていきましょう。
※オイルをたっぷりと含む製品のため、使い始めから数ヶ月のうちは、特にお手入れは必要ありません。革の表面にカサつきを感じたり、汚れが気になり始めたら、こちらのお手入れを試してみてください。
<用意するもの>
・クラフトテープ
・ポリッシングクロス(2枚)
・馬毛ブラシ
・コロニル シュプリームクリームデラックス
・コロニル レザーソープ
・コロニル 防水スプレーウォーターストップ
お手入れを始める前に
愛用品の中に入っている荷物を全て出す
鞄や小物の中に物が入っている状態は、その重みで負荷がかかっています。ケアをする時には中身を全て出し、リラックスした状態にしてあげましょう。本来の形に整えることを意識する
革製品は使っているうちに少しフォルムが変わったり、シワや折り目、アタリなどの癖が出てきたりするものです。そのため、お手入れをする時には鞄の中に手を入れながら、本来の形に戻すことを意識してみてください。洗濯物を干す際、シワを伸ばして干すときれいに乾くのと同じように、形が整ってきます。Point.1
スエード素材(内装)をきれいにする
最初は、鞄の内側からきれいにしていきましょう。「トーンオイルヌメ」シリーズの内装はソフトな豚革を起毛させたピッグスエードを使用しているため、オイルなどを塗ることはできず、「オイルヌメ革」とは少し扱いが異なります。
そこでおすすめするのは、「クラフトテープ」を使った方法です。指先に巻けるぐらいの長さにテープを切ったら、指に巻きつけて、ペタペタと埃や汚れを取っていきます。ご家庭にあるテープを使って簡単にできるのが良いところです。粘着性が強いものはスエードの表面を痛めてしまう可能性があるため、程よい粘着性の「クラフトテープ」をおすすめします。
Point.2
表情豊かな風合いを保つ
(ブラッシング)
続いては、表面のブラッシングです。「オイルヌメ革」はシボのある革のため、目地に埃や汚れが入りやすく、それをきれいにするためにブラッシングは欠かせません。また、この革ならではの豊かな表情を引き立ててくれます。
ブラシは、程よいコシと柔らかさのある馬毛タイプがおすすめ。鞄の中に手を入れ、ブラシをかける面を起こしながらブラッシングしていきます。ついつい手に力が入りがちですが、優しく撫でるように、を心掛けて。ブラシの動かし方は横でも縦でも大丈夫ですが、シボの目の向きに合わせると良いでしょう。
シボの間やシワが寄ったところ、ステッチの針穴、ハンドルの付け根など、埃が特に溜まりやすいところは丁寧にブラッシングしてあげてください。
Point.3
革を引き締め、柔らかさを深める
(クリーニング&オイルケア)
ブラッシングの後は、鞄に染み込んだ皮脂や汗などの汚れを取り除き、清潔な状態にする「クリーニング」と、潤いを与える「オイルケア」をしましょう。人の肌でも、洗顔をしてさっぱりした後にはクリームで保湿をするように、革にも同じケアをしてあげます。
続けて、オイルケアです。ここでもムラにならないようにクロスを使いましょう。クリーニングで使用していないきれいな面、または別のクロスを使ってください。
一度に使うオイルは一円玉ぐらいの量で、クロスに取ったら、鞄全体に塗り広げます。角や折り目、シワが寄る部分など、傷みやすいところは特に念入りに。シボの間やステッチの周辺にはオイルが白く溜まりやすいので、ブラシで散らせましょう。満遍なく塗れたら、改めて全体をブラッシング。オイルをしっかりなじませていきます。
最後は、きれいなクロスで乾拭きをして仕上げます。余分なオイルを取り除き、磨き効果でほんのりと艶が出て、柔らかな風合いに。さらに防水スプレーも掛けてあげると、より安心です。
エイジングを
より楽しみたい方は・・・
エイジングを深めるための一番簡単な方法は、実は「毎日の乾拭き」。自分が理想とする鞄の色つやを思い描きながら、毎日乾拭きを続けていると、1ヶ月後、3ヶ月後と、どんどん艶めいてきます。
3. 愛用時間とエイジング
手を掛ければ掛けた分だけ、応えてくれるのが革製品。一緒に時間を重ねていくと、持ち主に寄り添うように味わいが増していきます。深まる色つや、なめらかな光沢、くったりとした柔らかさ。長く愛用しながら、ピカピカの新品にはない、そんな魅力を楽しんでみませんか。