2024.05.24
【時を超えて愛される価値をつくる】 お客さまの希望にお応えできる サービスを目指して
【時を超えて愛される価値をつくる】
お客さまの希望にお応えできる
サービスを目指して
時を超えて愛される価値をつくるために。
土屋鞄では日本の感性と丁寧な手仕事を大切に、創業から半世紀以上かけて培ってきた知見と技術力を用いて、ものづくりを追求してきました。この思いのもと、皆さまに末永くご愛用いただくための取り組みを展開しています。
その一つとして、修理専門の技術を身に付けた熟練の職人による、修理サービスを実施しています。
たくさんの修理品を承る中で、壊れてしまった箇所の修理依頼の他に、「長年の愛用で角が擦れてしまったり、革の表面にシミができてしまった箇所を修理に出したい」といった、多くのお声を頂いていました。
2022年春より開始した
「補色・色変え」サービス
※色味を確認している様子
お客さまからの多くのお悩みの声を受けながらも、お断りせざるを得ない状況を変えるべく、専門の職人の増員、育成を行い、時間をかけて社内体制を整えてきました。
そうして2022年春より、擦れやシミなどにより退色した革に色を乗せ、目立たなくなるように整える「補色」サービスや、製品全体を黒一色に再着色する「色変え」サービスを開始することができました。
※塗装ブースの様子
昨年11月には、補色専用の塗装ブースを長野県の佐久工房に移転し、作業場所を拡張しました。これにより今までより一層、質の高いサービスをお届けできる環境が整いました。
自社内のものづくり体制が実現する
緻密な補色技術
※塗料を調合する「調色」をしている様子
補色といっても、退色した革にただ塗料を吹き付けるだけではありません。
個々の革の特性を深く理解した上で、その革にあった補色レシピの作成・作業を行なっています。
一見すると、同じような革に思えても、革に含まれる脂分の種類や含量具合、表面加工の状態により補色塗料との相性が異なるため、塗料を革に塗布した際の定着力や耐久性などを測る品質テストが重要になってきます。
そのため土屋鞄では、社内に設けた専門の品質管理部門と社外の検査機関で一定の基準をクリアした塗料や補色レシピを用いてサービスを行なっています。
また、ご依頼いただく修理品は、使用している間にクセがついたり革の傷み方に差が出たりと、持ち主の使い方によっても表情はさまざま。
だからこそ、個々の風合いや表情、状態を見極めながら、職人が1点ずつ補色を丁寧に行なっていくことを大切にしています。
仕上がりに大きな影響を与える
丁寧な下準備
補色作業では、奇麗に塗料を吹くための下準備が大切です。
長年のご使用で、革の表面に汚れが付着していることも多いため、まずは脱脂・汚れ落としを行っていきます。その後は、表面のささくれやザラつきを目立たなくさせるために、目が粗めのヤスリと細かいヤスリを交互に使用し、革の表面を滑らかに仕上げていきます。
※マスキングテープなどを用いて、塗料を吹き付けない箇所に養生を施している様子
表面が奇麗に整ったら、塗料を吹き付けない箇所に養生を施し、保護していきます。金具や内装の布地に塗料が入らないよう、丁寧に下準備を行います。
※塗料を調合する「調色」をしている様子
補色に入る下準備が整ったら、「調色」を行います。
作業の要となる調色は、ご愛用品の質感や色味の経年変化に合わせて補色専用の塗料を0.1g単位で調整していきます。
色味や擦れ、退色具合を何度も確認しながら、元の革の状態に近い色味やツヤ感になるように。試し吹きをして、問題ないことを確認してから本番作業に移ります。
※「色変え」作業の様子
補色作業はスプレーガン等で塗料を霧状にして吹き付けます。擦れの目立つ箇所は厚吹きになりやすいため、ムラが出ないように均一に吹くことを心掛けています。
また、塗料を吹いた後は、必要に応じて塗装面を滑らかにする「中研ぎ」を行い、最後に仕上げ剤を吹いて質感を調整します。
1日でも永く
お使いいただけるように
思いに寄り添う補色を心掛けて
お客さまのお手元にお戻した後も、ご愛用品との関係が1日でも永く続きますように。 相棒のような大切な存在だからこそ、愛着を持っていただけるよう、心を込めて補色を行なっていきたい。それが補色職人の思いです。
「後編」では、これまでにお客さまにご依頼いただいた修理品の補色前後の様子や、新たなサービスについてもご紹介予定です。どうぞお楽しみに。
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