2024.6.28
【徒然革】
革を語るメルマガ:
使い込むほどMY HONEY!
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気ままにつぶやくメルマガ
「徒然革(つれづれがわ)」
つれづれなるままに日暮らし、
PCに向かひて、
心にうつりゆく革のよしなしごとを
そこはかとなく書きつくれば、
あやしうこそ革狂ほしけれ——
かつて「副店長」の肩書で、数々のマニアックな革のうんちくコラムを担当した古参スタッフが、日常生活の役に立たない、知るだけムダな革や鞄の小ネタを気まぐれにお届けします。
今回の革メルマガでは、数量限定色「グリーン」が登場した「ビークル」シリーズの「愛される理由」を、メイン素材の「ヴィンテージワックスレザー」から紐解きます。まだ手にしたことのない方はもちろん、すでに「ビークル」シリーズの虜になっている方も必見ですよ。
野球観戦の合間に、梅酒(ジンジャーエール割り)を楽しみながら、どうぞご笑覧ください。
使うほど「ヴィンテージ」感を増す革とは
「ビークル」シリーズの愛される理由には、ラギッド感漂う武骨なデザインや考えられた使い勝手の良さが占める部分も大きいと思いますが、やはりメイン素材の「ヴィンテージワックスレザー」に魅せられた、という方が多いのではないでしょうか。
この革はその名の通り、初めから程良く使い込んだようなヴィンテージ調の表情と風合いを持っているのが特徴の牛革。シワやバラ傷などの自然な革の表情と変化に富む色のムラ感が一つひとつのアイテムにはっきりとした個性を与えています。“一期一会”をこれほど感じやすい革も、なかなかないですね。
※愛用歴:6ヶ月
さらに、使い込むにつれて色味が徐々に熟し、柔らかなつやを重ねて、自分だけの味わい深いヴィンテージ調へと経年変化。多少の傷はむしろこの革の風景となるので、ガシガシと使いやすいのも人気の秘密でしょうか。永く愛用するほど、“革を育てる楽しさ”を存分に堪能できる革なんですよね。
味わいの秘密は……なんと「蜜蝋」
そんな「ヴィンテージワックスレザー」は、乳牛種の雄の原皮をまずクロムで鞣してから革に浸透したクロム成分を一度抜き、さらに合成タンニン剤で再鞣しを行った革がベース。最終的に革に残るタンニン含有率を90%以上にしているため、程良いしなやかさと強靭な革質を併せ持つ革になっています。
※これは養蜂家
そんなベース革を染色する際に、透明感のあるアニリン染料と一緒に入れて革の下地にしっかり染み込ませているのが、なんと大量の蜜蝋。何を隠そう(全然隠していませんが)、この蜜蝋が「ヴィンテージワックスレザー」の魅力の秘密なんですね。このたっぷり含まれた蜜蝋のおかげで革の強度がいくらか増すとともに、使うほど光沢が増していくというエイジング力まで強化されるという寸法なわけです。
さらに「スモーキーブラウン」と「ヴィンテージオリーブ」には染料を手塗りして、色むらを強調したヴィンテージ調の雰囲気を演出。自然な革の表情を生かすためにそれ以外に表面加工はしておらず、ナチュラルな風合いと豊かな表情が大きな魅力となっています。そして、長く使うほどそのヴィンテージ感が深まり、まさに“MY HONEY”な相棒になるんですね。蜜蝋だけに(笑)
ちなみにこの革は、特に夏場や冬場、冷暖房などによる急激な温度変化により、表面に白い粉が浮き出ることがあります。「ブライドルレザー」のブルームとはまたちょっと違って、薄~い皮膜みたいな感じですので、時々「カビでは?」とお問い合わせをいただくことがありますが、ご安心を。
これは、革にたっぷり浸透した蜜蝋が染み出てきたもの。指や柔らかい布ですり込んだり、ブラッシングしたりすると戻ります。ただし元が蜜蝋なので、強く擦りすぎると、そこだけやたらとつやつやに(汗) なので優し~い力で根気良く、愛を込めて戻してあげてくださいね。
限定色「グリーン」のエイジングを見る!
さて、それではお待ちかねの限定色「グリーン」のエイジングをご披露いたしましょう。スタッフが2ヶ月使ったものなのですが……元はマットな風合いだった表面に、滑らかな光沢が出てきていますね。
※メルマガ編集部撮影
「ブライドルレザー」の光沢はともすれば硬質な印象のあるものですが、「ヴィンテージワックスレザー」の光沢は実に柔らかな雰囲気。革質がしなやかなのでいわゆる「アタリ」が付きやすく、いかにも使い込んでいる感じが出ます。
また光沢がにじみ出ることによって、色味もややコクが増してきたような印象に。しっとり感のあるモスグリーンといいますか、光沢を纏ったミリタリー調のグリーンカーキといいますか……何とも言えない、味わい深い色になってきていますね。このままエイジングさせていくと、より黒っぽい深緑になっていきそうな予感です。
同じ革の“限定ハンディLファス”も登場
最後までお読みいただき、ありがとうございます。今回の特集、いかがでしたか?
「ビークル」シリーズといえば、私は「トリジップボディーバッグ」(ダークインディゴ)が愛用品。本編で粉吹きの話をしましたが、私は粉が吹いた時、ついでに全体をブラッシングしてつやを増し増しにしています(笑)
※メルマガ編集部撮影
といったところで、次号の「徒然革」は、また届いてのお楽しみに。それでは、またお会いしましょう。とっぺんぱらりの、ぷう。
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