2024.8.30
【特別号】
スタッフ・山添と嶋谷が、
新登場のケア用品について
語り合います(「コードバン」篇)
8/29(木)より販売を開始した、2つの新しいケア用品「レーデルオガワ コードバンケアワックス」と「セジュウィック ブライドルレザーケアクリーム」。
他のケア用品との違いや具体的な使い方など、革好きの二人に聞きたいことを、メルマガ編集部のスタッフが聞いてみました。今回は「コードバンケアワックス」についての内容をお届けします。
二人の話に入る前に……
新製品をご紹介
製品名:レーデルオガワ コードバンケアワックス
一緒に写っている製品:コードバン 長札入れ
土屋鞄が採用する「水染めコードバン」を仕上げている「レーデルオガワ」社が自ら開発した、コードバン製品に最適なケアワックスです。
専用ケア用品がある理由
ーーそもそもなぜ、コードバン用のケア用品があるのでしょうか?
嶋谷:コードバンは繊維の構造が特殊なんです。
山添:コードバンが他の革と決定的に違うところって、極端にいうと、他の革は繊維が面に対して平行になっているのに対して、コードバンは縦に「林立」しているところなんだよね。
繊維が隙間なく並んで立っているので、革の表面に水分や油分が付着すると、すっと繊維の間に入り入りやすい。そのため、水シミや油シミができやすいんです。
嶋谷:このケアワックスは、おそらくそうしたコードバンの特性に合わせて、敢えて水分を少なくしているんじゃないかと思います。そうすることで、油脂分のみが染み込むようにしているんじゃないかなと。それが、1つ目の特徴です。
もう1つの特徴は、保湿力の高さです。
繊維が縦に並んでいるコードバンは水分や油分が入りやすいのと同様に、水分や染み込ませたケアオイルが抜けやすくなっています。つまり、乾燥しやすいのをどう防ぐかがポイント。そこでこのケアワックスは、4種類の油脂を独自に配合しています。
その中でも注目なのが、とても希少な岐阜県産の純粋蜜ロウです。養蜂箱の蜜蓋の上層部だけを使っている純度の高い蜜ロウで、一般的な蜜ロウと比べて粒子がとても細かくなめらかで、高い保湿効果があります。
これをベースに、浸透力と保湿力の高いアルガンオイルで潤いを加えて、浸透しながら膜を張るホホバオイルとワセリンで外からの乾燥を防ぎます。そうしてコードバンに栄養と潤い、油分を補充しつつ、かつそれらをキープするんですね。
嶋谷:単に保革という意味では、「コロニルシュプリームクリームデラックス」で十分なんですけど、コードバンをより美しく保革するという意味では、この新しいケアワックスがより適しているんだと思います。
専用ケア用品を塗ってみて
ーーコードバンの製品を使って、実際に「コードバンケアワックス」を塗ってもらえますか。
写真でも伝わらない、微量のワックスを指先に付けている様子
嶋谷:僕は見えないくらいの少量を指にとって、それをひたすら塗り重ねていきます。
山添:「コードバンケアワックス」はラード状だから指先の腹の部分であたためて、溶かしながら塗り広げていくのが良いよね。
嶋谷:そうですね。クロスでも良いのですが、クロスについたワックスの量が分かりにくいので、僕は指で直接塗ります。縦横の向きに塗り広げて、革にすり込むように塗る感じです。
ーーちなみに、どうしたら塗りすぎたと気付けるのでしょうか?
赤枠内、ワックスの塗り残し
嶋谷:塗りすぎの場合は、ワックスの軌跡が革の表面に残ります。一時的であれば問題ありませんが、伸ばしても残っているようでしたら塗りすぎかなと。拭き取れば問題ありませんが、ちょっと面倒なので意識してみると良いかもしれませんね。
ーー「コードバンケアワックス」は、塗ってから5分ほど待って、クロスをかければ良いでしょうか?
嶋谷:そうですね。クロスで余分なオイルを撫でながら拭き取る感じです。
山添:クロスで拭いてみて、革はどんな感じ?
嶋谷:そうですね、もっちりではないけど、ふっくらすると言いますか。水分が入って保湿された感じがします。
専用クリームの良さ
ーー「コロニル シュプリームクリームデラックス」を裏面に塗ってみて、どう違うのか教えてもらえますか?
嶋谷:いいですよ。コロニルの方を塗ってみて感じたことなのですが、コードバンに関していうと、艶は出て光るのですが、表面に膜を張っている感じの光り方をする印象です。
山添:専用クリームだと地の艶が強くなる感じ?
嶋谷:そうなんです。本当に違いが分かりにくいですし、僕個人の感想にはなってしまうんですけど。
僕は、コードバンは専用クリームを絶対使わないとだめ、というわけではなく、専用クリームとコロニルのクリームのどちらも使えるので選択肢の幅が広がったと思っていただければと思います。違いを目視するのは難しいですが、違いを確実に実感はしているのでぜひ使ってみてほしいですね。
山添:そうですね。どちらのクリームを使っても良いし、何より、定期的にお手入れすることを心掛けて欲しいことですね。肌が乾燥するように、革も長い時間を一緒に過ごすと、自然と乾燥するものなので。触って「乾燥してるかな」と思ったら、クリームを塗る習慣を身に付けてもらえると嬉しいです。
嶋谷:革の初心者でお手入れに不慣れな方はもちろん、自分でお手入れするのは難しいという方もお近くの店舗に足を運んでいただいて「お手入れサービス」を受けていただければと思います。
山添:店舗スタッフも革製品がどのように変化しているのか知りたいと思ってますし、何よりお客さまと会話ができるのを楽しみにしています。自分も店舗に行って、お手入れサービスを受けているお客さまの製品を見てみたい。革談義したいなあ(笑)
嶋谷:急に山添さんが話しかけたらお客さまは驚かれると思いますので、こっそり覗くくらいにしてください(笑)
ーーお二人ともありがとうございました。今回はコードバン専用のケア用品についてお話しいただきましたが、次回はブライドルレザーのクリームについてお願いします。
編集後記
製品ページやWEBサイトではお届けしきれない濃い内容をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
「革についてもっと知りたい」「そろそろ自分の革製品をお手入れしようかな?」そんな思いになっていただけたら、とても嬉しく思います。
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