2024.9.15
アーティスティックディレクターに聞く 「色」に込めた思い
アーティスティックディレクターに聞く
「色」に込めた思い
2024年秋に登場する数量限定カラーには、どのような思いが込められているのでしょうか。アーティスティックディレクターの大野が語る、メルマガだけのオリジナル記事をご用意しました。
光は、透明だけど、プリズムを通すと鮮やかな色が表れる。
別々のものに思えていたものが、またいつの間にか交わって溶け合ってしまう。
無関係だと思っていた人と縁で結ばれていたり、別れたと思っていたものとまたどこかで出会ったり。
24AWのテーマを考える上で出てきたのは「共感とエネルギーの増幅」というワードだった。それは、点描画のように別個の色の粒が集まって、そこになんとなくの色が生まれるように、流動的ではあるけれど同じ感覚を持った別の人々が集まることでそこになんらかのエネルギーが生まれるというイメージだった。けれど、その別個に見える色の粒自体も、本当は繋がっていていつか透明な光に戻ってしまうものかもしれない。
そんなわけで今シーズンは、赤、紫、緑、ブルーグレーなどバリエーションに富んでいるように見えるが、別れたり溶け合ったりする光を思わせるようなカラーラインナップとなった。
クラルテの「パープル」紫という色は、通常 色の中では暗さや影に近い色味のように思うがこの色は、むしろ輝くような明るさを感じさせる。光が明滅するある一瞬の輝きのよう。「ブルーイッシュグレー」については、明るい光の中の影のような色、影と言ってもどこまでも明るい印象があるグレーだと思う。光に意識を向けるためのグレーと言ってもいいかもしれない。
「トーンオイルヌメ」の「ダークレッド」は、落ち着きの中に鮮やかさが感じられる。「ダークグリーン」も本来色味を失うはずの暗さの中に底光するような鮮やかなグリーンの色が浮かび上がってくる。奥行きのある色味は、大人のスタイリングの役にも立ってくれそう。
「ガゼットコード」の「ローズトープ」は、けぶるようなというか雲間に光がさして色を写しているような色味。やわらかいけれど存在感のある色味。色の指示をするときは、
[ローズのように見た人の笑顔も溢れるように品よくやさしくやわらかい色に] と指示してできた色味。
テーマもあるけれど、まずは形状と素材にあった色味を心がけている。また、この色は持っていただきやすいかな?と色を選ぶときは、周りで別の仕事をしている仲間たちに遠くから勝手に片目を瞑りながら色チップを当てて眺めながら決めている。「色は綺麗だけどちょっとスタイリングしにくいかな?」「これならおしゃれにも見えるし持ちやすそう」そんな風に。そうして選んだ色は、持ってみると意外と合わせやすい“色”になっているはず。
ハイライトとシェードで、含む色のニュアンスが異なることもありますのであまり、ルールやセオリーに縛られず、心に響く色をお試しいただければと思います。そして、その色味が 皆様の日常に彩りを添えられれば幸いです。
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