2024.12.29
【OTONA RANDSEL】
各モデルの特徴を
スタッフ・山添に聞きました
誕生から10年を迎えてバリエーションを拡大中の「OTONA RANDSEL」シリーズ。その魅力について探るべく、革メルマガでおなじみの古参スタッフ・山添にインタビューしました。登場からの歩み、各モデルの特徴や魅力などについてご紹介します。
話を聞いたスタッフはこちら
OTONA RANDSELとは?
創業以来培ってきたランドセルづくりの技術を生かして、土屋鞄のルーツであるランドセルを大人の仕事鞄としてチューンナップした「OTONA RANDSEL」シリーズ。リリースされた2015年は創業50周年を迎えた年で、「これまでのものづくりへの思いや技術を継承しながら、大人の新しい背負い鞄に挑戦したい」という気持ちから生まれた特別な製品でした。
10年ほど前といえば、今では完全に定着した「ビジネスシーンにバックパック」のスタイルがまだ一般的ではなく賛否両論だったころ。ビジネス向けのバックパックも合成繊維製で機能性最優先のものが大半を占めていた時代で、そこに本革でビジネスに相応しい品格とスタイリッシュさを打ち出した「OTONA RANDSEL」の登場はまさに画期的でした。
土屋鞄のランドセル(上)とOTONA RANDSEL(下)の背面
ランドセルづくりを続ける中で培った技術・機能美を細部に至るまで宿しながら、大人が仕事で使うに相応しい、スマートで美しいシルエットを追求した品格漂う本革の背負い鞄。ランドセルだけでなく、ダレスバッグなどの鞄づくりの技術と修理のノウハウを持ち、革という素材の魅力を熟知している土屋鞄だからこそ可能となった新時代の仕事鞄として、「OTONA RANDSEL」は話題になりました。
ランドセル直系のDNAで、
土屋鞄のものづくりの"正統な継承者"に
記念すべきデビュー製品は、「ヌメ革」を使用したハードタイプの「001」と、柔らかなイタリアンレザー「バケッタ・ミリングレザー」を採用したソフトタイプ「002」の2型。後にひと回り大きなwideサイズも追加となりました。
ランドセルならではの箱形のメイン収納は形崩れしにくく、ノートPCや書類が効率良く収まる容量をキープしながら、ビジネスシーンにすっきりとなじむようマチをぐんとスリムに。背負い心地に直結する背中や肩ベルトには通気性と吸排湿性に優れるソフト牛革を使用し、クッションの盛り込みなど、ランドセルならではの技術が生かされています。
そして、ランドセルの象徴とも言えるフラップは、使う程に色艶が増す変化を存分に楽しんでいただけるよう、大きな一枚革をあしらった贅沢極まりない仕立てに。素材に「ヌメ革」と「バケッタ・ミリングレザー」という土屋鞄でもエイジングの豊かさで人気の高い革を採用することで、ともすれば邪魔だと思われる可能性があるフラップに「使いながら育てる喜び」という、他にはない価値を与えたのです。
永く愛用できる「卒業のないランドセル」
そんな「OTONA RANDSEL」が土屋鞄を代表する製品の一つとして10年のロングセラーとなれたのは、2つの理由があると思っています。一つは、日本独自の文化であり土屋鞄のルーツである「ランドセル」のDNAを濃厚に継承しながらも、単にそれをサイズチェンジしただけの「ユニークな企画もの」としてではなく、新しい時代を見据えた本格派の大人の鞄として提案したことです。
そしてもう一つは、何より鞄として「本物」だったから。「OTONA RANDSEL」は子ども用のランドセルよりもシンプルに見えますが、実はパーツの数は同等の150以上で、総工程は300を数えます。これは、形崩れせず長く使える耐久性にこだわった結果の必然でした。徹底的に加飾を排したミニマルなデザインも、時代の変遷で色褪せることなく、ずっと飽きの来ない相棒となることを目指したもの。子ども用ランドセルと違って"卒業"のない「OTONA RANDSEL」は、10年、20年……の愛用を前提にして生まれたものだったのです。
伝統と革新の精神はこれからも…
培ってきた伝統を大切にする一方で、そこに満足することなく、常に時代の先を見据えて自らを革新していく。そうした、創業者・土屋國男から継承される「更新されていくものづくり」の哲学が新しい背負い鞄である「OTONA RANDSEL」を生み、さらには「OTONA RANDSEL」自身も更新していきました。
「大人のためのランドセル」という新しいジャンルを確立した次に視線が向かったのは、さらなる利便性の向上。そこで誕生したのが、「防水ファインレザー」採用の「003/003 large」でした。皮革製品にとって大敵の雨が降っている日でも、革ならではの上質感で後姿の品位を失わない。雨で濡れてしまってもストレスなく愛用でき、ビジネスパーソンとしての矜持を堅守するバックパックは多くの支持を集めました。
「革新」への熱意はさらに、ランドセルの象徴的なパーツであるフラップにまで及びます。ノートPCや書類を頻繁に出し入れするビジネスパーソンの声に応じ、フラップをなくした「001FT」を開発。トップ(開口部)の2枚のプレートが折り重なり、強力な磁石で留まる「FT」は、パイロットが使うフライトケースのトップのつくりから着想を得たもの。開閉のスムーズさと見た目のスマートさを兼ね備え、よりモダンに進化した仕様で好評を博しています。
創業50周年を記念して衝撃の登場を果たして以来、土屋鞄のシグネチャーモデルとして「伝統」と「革新」の精神を体現し続け、現在の背負い鞄ブランドとしてのアイディンティティの嚆矢となった「OTONA RANDSEL」シリーズ。土屋鞄を象徴する製品としての役割にも"卒業"はありません。その登場から10年、そして記念すべき創業60周年の節目を迎える2025年には、どのような展開があるのか。私たちも楽しみにしたいと思います。
土屋鞄のバックパック
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CRAFTSMANSHIP
Established in 1965