わたしの愛する、古き良きもの
わたしの愛する、古き良きもの
永く使うことで生まれる味わい、それが“patina”(パティーナ)。
時間と記憶を共有してきた味のある愛用品を、土屋鞄スタッフがご紹介します。
永く使うことで生まれる味わい、
それが“patina”(パティーナ)。
時間と記憶を共有してきた味のある愛用品を、
土屋鞄スタッフがご紹介します。
紙箪笥
STAFF / MASAAKI OHNO
愛用歴 約5年
時間を重ねてきた、紙箪笥。
引き出しを開けるたび、懐かしい匂いがふわりと香る、紙箪笥(かみだんす)。紙屋だった実家の店先に置かれ、商品棚として使われていたものを、1人暮らしを始めるときに譲り受けた。今は、趣味のための筆や画材を入れて使っている。幼い頃からこの箪笥と一緒に育ってきた私にとって、遊び場として過ごしてきた店内や、働いている両親の姿・・・いろんな情景が浮かび、いつでも気持ちを落ち着かせてくれる存在だ。
実は、上2段は少しはみ出た形になっている。引き出しに入りきらない大きな紙を収納するために、祖父が自分の手でつくり直した名残だ。見る人によっては不格好に映るかもしれない。けれど、写真でしか会ったことのない祖父が、大きな背を丸めてせっせとつくり直している姿を思い浮かべることができるので、そのままの形で今も残している。
時間を重ねてきた、紙箪笥。
引き出しを開けるたび、懐かしい匂いがふわりと香る、紙箪笥(かみだんす)。紙屋だった実家の店先に置かれ、商品棚として使われていたものを、1人暮らしを始めるときに譲り受けた。今は、趣味のための筆や画材を入れて使っている。幼い頃からこの箪笥と一緒に育ってきた私にとって、遊び場として過ごしてきた店内や、働いている両親の姿・・・いろんな情景が浮かび、いつでも気持ちを落ち着かせてくれる存在だ。
実は、上2段は少しはみ出た形になっている。引き出しに入りきらない大きな紙を収納するために、祖父が自分の手でつくり直した名残だ。見る人によっては不格好に映るかもしれない。けれど、写真でしか会ったことのない祖父が、大きな背を丸めてせっせとつくり直している姿を思い浮かべることができるので、そのままの形で今も残している。
正面から見て右側は、どの引き出しも木目の凹凸が削られて、明らかに色が異なる。これは、紙の名前を記した小札が貼られていた跡。収めるものが替わるたびに古くなった小札を剥がし、新しいものに貼り替えていたらしい。よく見ると、直接筆で書かれた文字も。当時の面影が感じられるいろんな跡を含めて、味として気に入っている。
この箪笥の上に、季節の花を飾るのが私のこだわり。長い時間を過ごしてきたものに、今を生きているものを重ねる。そうすることで、より花の生き生きとした鮮やかさや、箪笥の年月を経てにじみ出た風合いが引き立つような気がしている。家族が過ごしてきた時間が形として残っているこの箪笥に、自分の新たな楽しみ方をのせて。