わたしの愛する、古き良きもの
わたしの愛する、古き良きもの
わたしの愛する、古き良きもの
永く使うことで生まれる味わい、
それが“patina”(パティーナ)。
時間と記憶を共有してきた味のある愛用品を、
土屋鞄スタッフがご紹介します。
永く使うことで生まれる味わい、それが“patina”(パティーナ)。
時間と記憶を共有してきた味のある愛用品を、土屋鞄スタッフがご紹介します。
永く使うことで生まれる味わい、
それが“patina”(パティーナ)。
時間と記憶を共有してきた味のある愛用品を、
土屋鞄スタッフがご紹介します。
ショパン:ピアノ・アルバム
STAFF / KYOKO KIMURA
愛用歴 15年
5歳の時から習っていたピアノのレッスンの中で、高校生の時に初めて手にした楽譜。大好きなショパンの曲が詰まっているし、先生とも何度も練習を重ねた、思い入れの深い一冊だ。今でも、心を空っぽにしてリラックスしたい時には、この楽譜を開いて鍵盤をたたく。しっとりと美しいメロディーの「子犬のワルツ」や「ノクターン」は数え切れないほど練習したけれど、飽きるどころか、弾けば弾くほど好きになる。
母もショパンが好きな人で、私が家で練習をしていると、台所で夕食の支度をしながらよく聴いてくれた。野菜を洗う音や、鍋がグツグツ煮える音。そこにピアノの音色が混じり合い、近くに母の気配を感じながら弾く時間が、とても好きだった。「上手になったね」と褒められると、その曲ばかり繰り返し弾いていたなあ。挙げればきりがないけれど、この楽譜には、そんな陽だまりみたいに温かくて懐かしい記憶もたくさん染み込んでいる。
陽だまりのような、温かな記憶が染み込む、ピアノの楽譜。
5歳の時から習っていたピアノのレッスンの中で、高校生の時に初めて手にした楽譜。大好きなショパンの曲が詰まっているし、先生とも何度も練習を重ねた、思い入れの深い一冊だ。今でも、心を空っぽにしてリラックスしたい時には、この楽譜を開いて鍵盤をたたく。しっとりと美しいメロディーの「子犬のワルツ」や「ノクターン」は数え切れないほど練習したけれど、飽きるどころか、弾けば弾くほど好きになる。
母もショパンが好きな人で、私が家で練習をしていると、台所で夕食の支度をしながらよく聴いてくれた。野菜を洗う音や、鍋がグツグツ煮える音。そこにピアノの音色が混じり合い、近くに母の気配を感じながら弾く時間が、とても好きだった。「上手になったね」と褒められると、その曲ばかり繰り返し弾いていたなあ。挙げればきりがないけれど、この楽譜には、そんな陽だまりみたいに温かくて懐かしい記憶もたくさん染み込んでいる。
高校を卒業してレッスンを辞めた後もずっと愛用しているから、表紙はくたっと曲がり、その端には珈琲のシミも付いた。音符が刻まれたページも、めくるたびに手になじんで柔らかくなっている。この楽譜を初めて先生から手渡された日、自分のピアノの腕がぐっと上がったような気がしてうれしかったのは、表紙のデザインが大人びて見えたからだ。深い海みたいな青色やモダンな雰囲気は、今もすごく気に入っている。
仕事が休みの週末には、今も母からのリクエストで、家族を囲んでショパンの曲を弾くこともある。その時にガイドをしてくれるのは、あの頃、先生が赤や黒の鉛筆で譜面に書き込んでくれた丸の印。気持ちを込めて弾くことを大事にしていた先生のように、私も家族のために気持ちを込めて弾く。そんなふうにピアノの音色で自分と家族をつなぎ、心休まる時間をつくってくれるこの楽譜を、私は一生手放すことはないだろうと思う。