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使い手の数だけある「特別な一つ」のために、新しい選択肢を提案していく。私たちはそうしたつくり手の役割を果たすために、ものづくりを支える「素材」も追求し続けてきました。

そんな私たちが、未来のものづくりのための素材を探しているときに出会ったのが、「Mylo™」。こちらのページでは、この新素材のことを詳しくご紹介します。

キノコの菌糸体から生まれた新素材
「Mylo™(マイロ)」

今回採用することになった「Mylo™」は、米国の最先端バイオテック企業「Bolt Threads(ボルトスレッズ)社」が開発した新素材。キノコの菌糸体(菌が構成する、根のような糸状の組織体)を原材料として生まれた代替レザーです。上質感のある風合いと優しい手触りを持ち、加工によってさまざまな表情と柔軟性を与えることが可能なため、幅広い製品に仕立てることができます。

「Mylo™」の原材料となる菌糸体の生育に必要なものは、水と空気と、おがくず等からなるマルチング材(菌糸体の生育時に培地の表面を覆うもの)のみです。栽培する場所は、100%再生可能エネルギーで稼働する垂直農業施設。2週間足らずという短い周期で生育できるため、安定した供給が見込まれています。

菌糸体(mycelium)とは

キノコなどの菌類の体を構成する、菌糸の集合体のこと。外に出ている子実体(いわゆる「キノコ」の部分)に対して、植物の根のように見える糸状・繊維状の組織体を主に指し、白っぽく、ふわふわとした見た目と質感をしています。

「Mylo™」ができるまで

1. 菌糸体を生育

菌糸体の胞子におがくずや有機物を与え、湿度と温度などさまざまな要素を管理した環境下に置きます。菌糸体の生育期間は2週間足らずです。

2. 基材を製造

生育した菌糸体を収穫し、圧縮・染色してシート状の基材をつくります。収穫後の残存物は、堆肥となります。

3. 加工・仕上げ

シート状の基材にエンボス、染色、プレス加工を施します。その後、強度や厚さ、柔らかさを調整するための表面加工を施し、本革のような風合いに仕上げます。

本革のような風合いと上質感

「Mylo™」は、キノコの菌糸体85%と再生繊維(リヨセル)15%で仕立てたシートの表面に、水性のポリウレタン樹脂をコーティングした素材です。キノコの菌糸体が持つ微細な繊維で、本革のように柔らかな手触りと上質感のある風合い、十分な強度を実現しました。加工によって柔軟性を整えることが可能なので、さまざまな製品に利用できる高い汎用性を持ち合わせています。

※「リヨセル」は、計画的に植林・管理された森林から採取されるユーカリ材を原料としています。

「Mylo™」は本革とは素材の特性が異なるため、土屋鞄ではサンプル制作や強度試験、使用試験で検証を重ね、「Mylo™」ならではの製造技術を確立しました。

また本革よりも素材の均質性が高く、隅から隅まで効率良く部品を採ることができるため、「Mylo™」を使用すると破棄される端材の量を減らすことが可能になります。

経年変化

使用歴約1ヶ月(サンプル)

「Mylo™」は本革とは異なる素材であるため、土屋鞄の社内試験では、本革のような色や風合いの経年変化はないことが確認されています。日々のお手入れは、表面のほこりやちりを払う程度で十分です。

※「Mylo™」は革とは異なる素材ですので、皮革専用のケア用品を使用することはおすすめできません。

2つの「つくる」の共鳴が、
未来のものづくりを拓く。

世界が注目する「素材をつくる」イノベーションと、
「特別な一つをつくる」クラフツマンシップ。
Bolt Threads社と土屋鞄が共鳴し合うことで、
未来に向けた新しい「つくる」を生み出せると、
私たちは確信しています。

これから、新素材「Mylo™」を取り入れた「特別な一つ」が誕生する予定です。
今後の展開を、どうぞご期待ください。

2022年12月15日(木)発売予定
「Mylo™ ハンディLファスナー」