Vol.02/井藤 成一

BAG AND
LIFESTYLE
土屋鞄と日常

さまざまな分野で活躍する人たちが日常や仕事を通して、考えていること、大事にしていること。それからライフスタイルを語るときに欠かせない鞄についても。気になるあれこれをインタビュー。第2回はスタイリストの井藤成一さん。洋装だけでなく和装のスタイリングも手掛け、現在は地元・山口県にセレクトショップも出店しています。日本橋店にリサーチで来店した井藤さんに話を伺いました。

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土屋鞄と日常

Vol.02/井藤 成一

さまざまな分野で活躍する人たちが日常や仕事を通して、考えていること、大事にしていること。それからライフスタイルを語るときに欠かせない鞄についても。気になるあれこれをインタビュー。第2回はスタイリストの井藤成一さん。洋装だけでなく和装のスタイリングも手がけ、現在は地元・山口県にセレクトショップも出店しています。土屋鞄 日本橋店にリサーチで来店した井藤さんに話をうかがいました。

さまざまな分野で活躍する人たちが日常や仕事を通して、考えていること、大事にしていること。それからライフスタイルを語るときに欠かせない鞄についても。気になるあれこれをインタビュー。第2回はスタイリストの井藤成一さん。洋装だけでなく和装のスタイリングも手掛け、現在は地元・山口県にセレクトショップも出店しています。日本橋店にリサーチで来店した井藤さんに話を伺いました。

井藤 成一

スタイリスト

1978年生まれ、山口県出身。中学生の頃からカルチャーやファッションに興味を抱く。雑誌編集のアルバイトからキャリアをスタートし、スタイリストアシスタトを経て独立。メンズ・レディースを問わず、ファッション誌を中心に、CM広告やブランドカタログなどに携わる。また和装のスタイリングも手掛ける。2018年秋からPen Onlineの連載企画「大人の名品図鑑」を担当のほか、2021年には地元・山口市に自身のディレクションによるセレクトショップ「RETROP(リトロップ)」をオープンし、マルチに活躍中。

井藤 成一

スタイリスト

1978年生まれ、山口県出身。中学生の頃からカルチャーやファッションに興味を抱く。雑誌編集のアルバイトからキャリアをスタートし、スタイリストアシスタトを経て独立。メンズ・レディースを問わず、ファッション誌を中心に、CM広告やブランドカタログなどに携わる。また和装のスタイリングも手掛ける。2018年秋からPen Onlineの連載企画「大人の名品図鑑」を担当のほか、2021年には地元・山口市に自身のディレクションによるセレクトショップ「RETROP(リトロップ)」をオープンし、マルチに活躍中。

入荷通知受付中
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カルチャーがきっかけでファッションの世界へ

カルチャーがきっかけでファッションの世界へ

スタイリストとして多様に活躍される一方で、地元にもセレクトショップを出店され、お仕事の幅が広がっているようです。

そうですね。いろいろなことをやっています。もともと僕は洋服からというよりもカルチャーを入口にしてファッションに興味を持ったので、コロナ禍のときに文化的なことが全てストップしてしまったことがとてもショックでした。当時、コロナ禍だからできることって何だろう?と考えていたら、ふと故郷のことが思い浮かび……。父が地元で店を営んでいたこともあり、自分も山口で店をやってみたいという気持ちが湧いてきました。そんな時、ちょうど地元の有名な文房具店が大型ショップをつくることになり、「一緒に何かやりませんか?」と声を掛けてくださった。それで維新テラスという施設の中に「RETROP(リトロップ)」というお店を出すことになりました。

山口でお店を始めたことで、それまでの生活やスタイリストの仕事に変化はありましたか?

現実的な部分では故郷に店を持つことで、二拠点で生活や仕事ができるという安心感が生まれました。近年は疫病や地震などの災害が多く、本当に何があるかわからない時代なので。「RETROP」は、僕がスタイリストという職業を通して出会ったデザイナーやお世話になった方々が手掛ける素敵なものを、地元の山口の方に見て、触れてもらいたいと願ってつくったお店です。単純にものを売るだけでなく、商品の背景やつくり手の思いなども含めて、お客様の手元に届けることができればと。店頭に立てばスタイリストの仕事では知り得なかったリアルな声も聞くことができます。時に厳しいご意見も頂きますが、それも受け止めて仕事に向き合っています。

毎週名品を紹介するPen Onlineの「大人の名品図鑑」は、スタートから5年が経つ長寿連載になりました。コロナ禍を境に名品ブームが加速している観があります。名品に関して井藤さんが思うことを教えてください。

連載では著名人が愛用した名品を取り上げていますが、僕は人それぞれに名品があると思っています。1本100円のペンだって、書きやすいという視点で「名品」に選んでいる人がいるかもしれません。そういう意味でも印象的だったのは、バスキアが愛用したノート。彼は「コンポジションブック」というマーブル模様の表紙でおなじみのノートを愛用していました。アメリカではスーパーや大学の生協などで安価で売られている1冊500円ほどのノートです。それにバスキアが描いた落書きが、何億円という値段で売れたというエピソードは痛快ですよね。高級なものだけが名品ではないということを物語っていると思いました。

趣味は音楽と伺いました。今日も今話題のデヴィッド・バーンのTシャツを着られていますね。

トーキング・ヘッズのライブドキュメンタリー映画『ストップ・メイキング・センス4Kレストア』は本当に良かったですよね。僕は音楽が大好きで、仕事にしたいと思っていた時期もあり、地元には通っていたレコードショップもありました。今もライブに月2~3回は行きたいなと。最近ではEXシアター六本木で見た、ベックのアコースティックライブがよかったです。

音楽を求めて地方にも行かれているようですね。

仕事ついでという時もあります。北海道・札幌には音楽好きの間では有名なプレシャスホールというとても良いクラブがあって、そこには年に何回か行っています。地方にいいレコード屋や音楽喫茶、バーがあると聞けば、そこを目掛けて行くこともありますね。先日も金沢に行った時、Jazz Spot 穆然(ジャズスポット ぼくねん)を訪れました。ジャズ好きの間では聖地と評判のバーで、マスターとママのお二人で切り盛りされているんですが、音響が素晴らしくて。僕の好きな曲がかかったときに感動して「いつも聴いているレコードと全然違います」と話すと、「じゃあこれもお好き?」とママがかけてくれる。至福の時間でした。

スタイリストとして多様に活躍される一方で、地元にもセレクトショップを出店され、お仕事の幅が広がっているようです。

そうですね。いろいろなことをやっています。もともと僕は洋服からというよりもカルチャーを入口にしてファッションに興味を持ったので、コロナ禍のときに文化的なことが全てストップしてしまったことがとてもショックでした。当時、コロナ禍だからできることって何だろう?と考えていたら、ふと故郷のことが思い浮かび……。父が地元で店を営んでいたこともあり、自分も山口で店をやってみたいという気持ちが湧いてきました。そんな時、ちょうど地元の有名な文房具店が大型ショップをつくることになり、「一緒に何かやりませんか?」と声を掛けてくださった。それで維新テラスという施設の中に「RETROP(リトロップ)」というお店を出すことになりました。

山口でお店を始めたことで、それまでの生活やスタイリストの仕事に変化はありましたか?

現実的な部分では故郷に店を持つことで、二拠点で生活や仕事ができるという安心感が生まれました。近年は疫病や地震などの災害が多く、本当に何があるかわからない時代なので。「RETROP」は、僕がスタイリストという職業を通して出会ったデザイナーやお世話になった方々が手掛ける素敵なものを、地元の山口の方に見て、触れてもらいたいと願ってつくったお店です。単純にものを売るだけでなく、商品の背景やつくり手の思いなども含めて、お客様の手元に届けることができればと。店頭に立てばスタイリストの仕事では知り得なかったリアルな声も聞くことができます。時に厳しいご意見も頂きますが、それも受け止めて仕事に向き合っています。

毎週名品を紹介するPen Onlineの「大人の名品図鑑」は、スタートから5年が経つ長寿連載になりました。コロナ禍を境に名品ブームが加速している観があります。名品に関して井藤さんが思うことを教えてください。

連載では著名人が愛用した名品を取り上げていますが、僕は人それぞれに名品があると思っています。1本100円のペンだって、書きやすいという視点で「名品」に選んでいる人がいるかもしれません。そういう意味でも印象的だったのは、バスキアが愛用したノート。彼は「コンポジションブック」というマーブル模様の表紙でおなじみのノートを愛用していました。アメリカではスーパーや大学の生協などで安価で売られている1冊500円ほどのノートです。それにバスキアが描いた落書きが、何億円という値段で売れたというエピソードは痛快ですよね。高級なものだけが名品ではないということを物語っていると思いました。

趣味は音楽と伺いました。今日も今話題のデヴィッド・バーンのTシャツを着られていますね。

トーキング・ヘッズのライブドキュメンタリー映画『ストップ・メイキング・センス4Kレストア』は本当に良かったですよね。僕は音楽が大好きで、仕事にしたいと思っていた時期もあり、地元には通っていたレコードショップもありました。今もライブに月2~3回は行きたいなと。最近ではEXシアター六本木で見た、ベックのアコースティックライブがよかったです。

音楽を求めて地方にも行かれているようですね。

仕事ついでという時もあります。北海道・札幌には音楽好きの間では有名なプレシャスホールというとても良いクラブがあって、そこには年に何回か行っています。地方にいいレコード屋や音楽喫茶、バーがあると聞けば、そこを目掛けて行くこともありますね。先日も金沢に行った時、Jazz Spot 穆然(ジャズスポット ぼくねん)を訪れました。ジャズ好きの間では聖地と評判のバーで、マスターとママのお二人で切り盛りされているんですが、音響が素晴らしくて。僕の好きな曲がかかったときに感動して「いつも聴いているレコードと全然違います」と話すと、「じゃあこれもお好き?」とママがかけてくれる。至福の時間でした。

佇まいも美しい「余白」を感じるバッグ

スタイリングの仕事で、大事にしていることはありますか? 井藤さんの普段のファッションにも通じる部分になりますが。

「余白」を大事にしています。「余白」の分量で、コーディネートの見え方が大きく変わりますから。カラーリングでいうと白の分量を一番気にしますね。例えばシャツがジャケットの下からどれぐらい見えるか?その見え方でスタイリングがエレガントになったり、逆にカジュアルになったりします。黄金律はないと思いますが、サイジングのバランスでもカラーリングでも「余白」は重要です。

今日は「ディアリオ フリーワンショルダー」に合わせて黒×白のコーディネートにされたと仰っていました。

はい。このバッグはステッチを黒にするか、白にするかでずいぶん印象が違うと思います。ホワイトステッチは、カジュアル感は出ますが、これがバッグのひとつの「余白」になっているのだなと。それで今日はジャケットとパンツは黒、Tシャツやソックスを白にして、見え方のバランスでそれぞれのアイテムを選びました。今日履いているヴァンズのメリージェーンは、このバッグに合いそうだとつい先日、購入したものです。

このワンショルダーバッグは主にお仕事で使われているんですか?

この大きさは「大人の名品図鑑」の資料書籍やメモ、リース伝票をまとめるファイルなど、仕事に必要なものが一式入るのでよく使うんですよ。仕事バッグの条件としては、自立すること。A4サイズの書類が入ること。それからハンドルの長さが肩掛けできること。このバッグは手持ちした時も地面にすれませんし、肩掛けしてバッグを前に持った時ポケットに手が入れやすく、ハンドルの長さを緻密に計算しているのが見事だと思いました。

使い方にもいろいろ工夫を凝らされていますね。ネームタグの使い方もユニークです。

鞄をなるべく大切に使いたいので、シューズケースとして付いてくる巾着袋をライナー的に使っています。書類などは袋に入れておけば、必要な時にそれだけで持ち歩けて使い勝手もいいんです。ネームタグはハンドルではなく内装のDカンに付けて、カラビナとミニリールを利用して車のキーを付けておくと何かと便利です。

愛用されている井藤さんが感じる、「ディアリオ」の魅力は何でしょうか?

展示会で見たときから良いなと感じていましたが、使ってみたら本当に使いやすいし、車の助手席に置いたときの佇まいもすごく良いんですよね。シンプルながら角がアールになったデザインを、白いステッチがさり気なく際立たせているところもお気に入りです。口にはマグネットが付いていて倒れた時に中のものが飛び出さず、また背面に背負ったときも安心だし、そういう気が利いたところは日本製の鞄の魅力ですよね。

佇まいも美しい「余白」を感じるバッグ

スタイリングの仕事で、大事にしていることはありますか? 井藤さんの普段のファッションにも通じる部分になりますが。

「余白」を大事にしています。「余白」の分量で、コーディネートの見え方が大きく変わりますから。カラーリングでいうと白の分量を一番気にしますね。例えばシャツがジャケットの下からどれぐらい見えるか?その見え方でスタイリングがエレガントになったり、逆にカジュアルになったりします。黄金律はないと思いますが、サイジングのバランスでもカラーリングでも「余白」は重要です。

今日は「ディアリオ フリーワンショルダー」に合わせて黒×白のコーディネートにされたと仰っていました。

はい。このバッグはステッチを黒にするか、白にするかでずいぶん印象が違うと思います。ホワイトステッチは、カジュアル感は出ますが、これがバッグのひとつの「余白」になっているのだなと。それで今日はジャケットとパンツは黒、Tシャツやソックスを白にして、見え方のバランスでそれぞれのアイテムを選びました。今日履いているヴァンズのメリージェーンは、このバッグに合いそうだとつい先日、購入したものです。

バッグは道具ではありますが、ときにそれ以上の役割もあります。

ありますね。取材などで公人にお会いしたり、格式の高い場所に行くこともあるので、訪問する際に失礼のない、きちんとした革靴やバッグは必需品です。このバッグならそんな場面に相棒として連れて行っても遜色がありません。足入れが悪いと革靴を履かなくなるように、バッグも手なじみが悪いと使わなくなります。

デザインだけでなく、革質のようなものも重要だということですね。

重要ですね。このバッグは「オイルメロウレザー」というオイルを丹念に塗り込んだレザーを使用していて、経年変化を楽しむレザーだと教えていただきました。僕はメロウという言葉にとても弱いんですが、それを置いてもこの革の質感は好みです。手でさわるにつれどんどん変わっていく「ディアリオ」のバッグは、ライダースジャケットのような存在ではないかと。まさに革の醍醐味ですよね。僕はフレンチヴィンテージもよく着るんですが、ヴィンテージと相性がいい理由もこの革質にあるのだと思います。

このワンショルダーバッグは主にお仕事で使われているんですか?

この大きさは「大人の名品図鑑」の資料書籍やメモ、リース伝票をまとめるファイルなど、仕事に必要なものが一式入るのでよく使うんですよ。仕事バッグの条件としては、自立すること。A4サイズの書類が入ること。それからハンドルの長さが肩掛けできること。このバッグは手持ちした時も地面にすれませんし、肩掛けしてバッグを前に持った時ポケットに手が入れやすく、ハンドルの長さを緻密に計算しているのが見事だと思いました。

使い方にもいろいろ工夫を凝らされていますね。ネームタグの使い方もユニークです。

鞄をなるべく大切に使いたいので、シューズケースとして付いてくる巾着袋をライナー的に使っています。書類などは袋に入れておけば、必要な時にそれだけで持ち歩けて使い勝手もいいんです。ネームタグはハンドルではなく内装のDカンに付けて、カラビナとミニリールを利用して車のキーを付けておくと何かと便利です。

愛用されている井藤さんが感じる、「ディアリオ」の魅力は何でしょうか?

展示会で見たときから良いなと感じていましたが、使ってみたら本当に使いやすいし、車の助手席に置いたときの佇まいもすごく良いんですよね。シンプルながら角がアールになったデザインを、白いステッチがさり気なく際立たせているところもお気に入りです。口にはマグネットが付いていて倒れた時に中のものが飛び出さず、また背面に背負ったときも安心だし、そういう気が利いたところは日本製の鞄の魅力ですよね。

バッグは道具ではありますが、ときにそれ以上の役割もあります。

ありますね。取材などで公人にお会いしたり、格式の高い場所に行くこともあるので、訪問する際に失礼のない、きちんとした革靴やバッグは必需品です。このバッグならそんな場面に相棒として連れて行っても遜色がありません。足入れが悪いと革靴を履かなくなるように、バッグも手なじみが悪いと使わなくなります。

デザインだけでなく、革質のようなものも重要だということですね。

重要ですね。このバッグは「オイルメロウレザー」というオイルを丹念に塗り込んだレザーを使用していて、経年変化を楽しむレザーだと教えていただきました。僕はメロウという言葉にとても弱いんですが、それを置いてもこの革の質感は好みです。手でさわるにつれどんどん変わっていく「ディアリオ」のバッグは、ライダースジャケットのような存在ではないかと。まさに革の醍醐味ですよね。僕はフレンチヴィンテージもよく着るんですが、ヴィンテージと相性がいい理由もこの革質にあるのだと思います。

Photo | Yuta Okuyama (Ye)
Text | Hisami Kotakemori

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ABOUT TSUCHIYA KABAN

土屋鞄が大事にしている、ものづくりのアイデンティティをご紹介

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