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【徒然革】
我が溺愛の「トーンオイルヌメ」(前編)

2023.07.14

日常生活の役に立たない、
マニアックな革のうんちく知識を
気ままにつぶやく
「徒然革(つれづれがわ)」

つれづれなるままに日暮らし、
PCに向かひて、
心にうつりゆく革のよしなしごとを
そこはかとなく書きつくれば、
あやしうこそ革狂ほしけれ——

かつて「副店長」の肩書で、数々のマニアックな革のうんちくコラムを担当した古参スタッフが、日常生活の役に立たない、知るだけムダな革や鞄の小ネタを気まぐれにお届けします。

今回は「我が溺愛の『トーンオイルヌメ』」。ごゆっくりどうぞ。

まさに「革好き」のために生まれたコレクション

誕生から今年で20年を迎える、土屋鞄屈指のロングセラーコレクションといえば「トーンオイルヌメ」シリーズ。実は、何を隠そう(隠してはいない)私も愛用者の一人なんです。

今回はそんな私から、「トーンオイルヌメ」シリーズがなぜこれほど長くお客さまに愛されているのか、その理由を考察してみました。

①使うほど夢中になる「オイルヌメ革」

まずは何といっても、メイン素材の「オイルヌメ革」。使うほど「革好きを魅了する革」だというのが実感できます。例えば、オイルをたっぷり含ませたことで生まれたナチュラルで、かつアンティックな雰囲気の風合い。そこに、多様なシボ模様が加わって、二つとない表情になっています。

さらに「オイルヌメ革」は、手触りと香りも大きな魅力ですね。オイルレザーならではのふっくらした柔らかさと、使い始めからしっとり柔らかで吸い付くような手触り。そして、何とも言えない芳醇な革の香りも魅力です。

そして何より、この革の魅力は、使い込むほど自分だけの革に変化するエイジングの豊かさ。使い込んでいくにつれてさらに柔らかさを増し、色つやを深めて何とも言えない風合いに熟成。これほど「革を使う楽しさ」を濃厚に楽しめる素材は、今でもそれほど多くはないんじゃないかと思いますね。
 
 
 
②贅沢すぎる革遣い
そんな「オイルヌメ革」の魅力を最大限に引き出し、心行くまで楽しんでいただきたい。そんな思いから、大きな一枚革を大胆にあしらった、シンプルなデザインのものが多いのも特徴。特に鞄だと一つのパーツが大きいので、さまざまなシボの表情やエイジングの変化をたっぷり堪能できます。おまけに、内装までピッグスエードときてますから、革好きにはもうケサランたまらんであります。
 
ちなみに20年前の登場当初、内装にここまで贅沢に革を使っている鞄は比較的珍しかったんです。このピッグスエードの高級感、うっとりするような柔らかな手触りと鞄を開くたびに立ち上ってくる香りも、「トーンオイルヌメ」の魅力を一層、抗いがたいもの(抗わないけど)にしていると思います。
 
③革の魅力を引き立てるシンプルなデザイン

基本的に②と関係しますが、デザインのシンプルさもこのシリーズの特徴。これは「オイルヌメ革」の魅力を引き立たせるとともに、どんなスタイルにもフィットすることで性別や年齢を問わず、永く使っても飽きがこないように── という思いからです。

もう一つのデザイン的な特徴は、丸みを帯びた柔らかなシルエット。これは「オイルヌメ革」のふっくらとした柔らかな素材感を生かしたものです。また、シンプルな中におおらかな柔らかさを持たせることで、「トーンオイルヌメ」は当時はまだ珍しかったユニセックスのコレクションとして幅広いお客さまに愛されたのだと思いますね。

まさに「ザ・土屋鞄」と言うべき
「運ぶを楽しむ」の原点コレクション

「TSUCHIYA バックパック」が土屋鞄の"集大成"なら、「トーンオイルヌメ」シリーズは"原点"。年齢も性別もスタイルも問わず、運ぶを楽しみ、革を楽しみ、永く使うことを楽しむためのエッセンスが詰まった"王道"コレクションだと思います。

もう一つ、「トーンオイルヌメ」の土屋鞄らしさを挙げるなら、土屋鞄の中でも群を抜く「遊び心」の豊かさでしょうか。というわけで最後に、山添おすすめの、遊び心溢れる3アイテムをご紹介します。

●山添おすすめの「トーンオイルヌメ」アイテム

今どきこんなクラシカルな印象の、しかも革のバックパック、他にないのでは。とにかく、絵映えが半端ない。思い出の旅写真を素敵に彩る相棒です。

これは「手帳」じゃないと思っています。ノートが付いた、マルチパーパスのレザーポーチ。使う人の数だけ自由に遊べる"大人の魔法の手帳"ですね。

土屋鞄と「トーンオイルヌメ」の「遊び心」を代表するロングセラー。贅沢な一枚革、自由な用途、自分だけの巻き方。たまらなくお洒落だと思います。

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