鞄と革の用語辞典 -牛原皮の種類-

【カーフスキン】
Calf skin

皮革素材で最も広く使われる牛革は、原皮の種類が年齢や雌雄によって細かく分けられています。そのうち生後半年以内の子牛の原皮を、雌雄共に「カーフスキン(calf skin)」と呼んでいます。これをさらに重量で区別することもあり、9.5ポンド(約4.3kg)以下のものを単に「カーフ」、9.5~15.0ポンド(約4.3~6.8kg)のものを「ヘビーカーフ」と呼ぶこともあります。

カーフは子牛の皮なので、1頭から採れるサイズが小さく、非常に高価な原皮となります。それに加えて、カーフが原皮の革は薄くて柔らかく、非常に肌目が細やかでなめらかなので、最高級の牛革として扱われます。なお、欧州では後述のキップを含めて「カーフ」と称することがあるので、注意が必要です。

【キップスキン】
Kip skin

北米や日本では、生後半年~2年以内の若い牛の原皮を「キップスキン(kip skin)」と呼んでカーフと区別することがあります。これは子牛の原皮であるカーフの次に若い牛の原皮で、成牛の原皮との中間に位置するため「中牛皮」とも言います。ちなみに欧州では、まとめて「カーフ」と称することが多いようです。

キップスキンを鞣した革はカーフの次に肌目が細かく、しなやかで表面がなめらかな高級革になります。その上、カーフよりも面積が1.5~2倍ほど大きく、銀面がより厚くて加工しやすいため、カーフよりも用途が広いのが利点です。なお、牛以外の動物の若い原皮も「バッファローキップ」などと呼ぶことがあります。

【カウハイド】
Cow hide

「カウハイド(cow hide)」は雌の成牛のなかでも、生後1年半~2年以上の、出産を経験した雌牛から採れる原皮を指します。これはさらに重量で区別されることがあり、30.0~53.0ポンド(約13.6~24.0kg)を「ライトカウ」、53.0ポンド以上のものを「ヘビーカウ」と呼び分けることがあります。

カウハイドは、カーフやキップほどではないものの、雄牛から採れる革よりは肌目が細かくソフトに仕上がります。ただし雄牛より身体が小さいため、革のサイズもやや小さくなります。また、出産を経験していることで腹部とその周辺の線維が若干緩くなっているため、肩から背中にかけての部分が主に使用されます。

【ステアハイド】
Steer hide

特殊な薬品と熱を使って革の銀面を収縮させ、シボが寄るよう加工した革を「シュリンクレザー」と呼んでいます。土屋鞄では「ノワイエット」シリーズに使われている革がそれです。よく似た外見の革には、空打ちでシボをつけた革や手作業で揉みシワを付けた「揉み革」、シワ模様の型押し革などがありますが、「シュリンクレザー」は革を収縮しているため、それらよりも革質が締まっていて、線維の密度が高くなっています。

「シュリンクレザー」は、縮んでシボができるおかげで、元々革に付いていたバラ傷やシワ・血筋が目立たなくなります。同時に、革の種類や使っている身体の部位によってシワの大きさや深さなどが変化するため、独特の豊かな表情を楽しむことができます。また、細かなシボ模様があるため、傷が比較的目立ちにくくなっているのも特徴です。

【ブルハイド】
Bull hide

生後3~6ヶ月ごろに去勢をされたステアに対し、種牛などとして去勢されないまま成牛となった雄牛のことを「ブル(bull)」といい、採れる原皮のことを「ブルハイド(bull hide)」と呼んでいます。牛原皮の中では線維が最も太くて粗いため、かなり分厚くて重く、特に頭・首・肩の部分はとても肥厚しています。

ブルハイドを鞣すと、基本的にはごわっとした固い革になります。同時に、たいへん丈夫な革になるので、工業用のベルトや靴底などに利用することが多いようです。しかし、元々肌目の細かい品種の牛の場合はブルハイドをしなやかに鞣し、バッグやブーツなどに使うこともあり、独特の風合いに仕上がります。


次回のテーマは
「牛革の分割」です。