想いを込める「つくる人」。
ライフスタイルに合わせた使い方や、
自分らしい革の表情を味わう「楽しむ人」。
2人の想いが詰まった鞄を囲んで、それぞれの目線から、
その鞄にまつわるストーリーを自由に語り合います。
ものづくりやデザインに、想いを込める「つくる人」。
ライフスタイルに合わせた使い方や、
自分らしい革の表情を味わう「楽しむ人」。
2人の想いが詰まった鞄を囲んで、それぞれの目線から、その鞄にまつわるストーリーを自由に語り合います。
「ウルバーノ
アーバンブリーフ」」
今回は、「ウルバーノ アーバンブリーフ」について
愛用者の安藤さんと、革についての造詣が深いライター・山添が語り合います。
年齢や環境に合う、
鞄との出会い
山添
こちら安藤さんが愛用されている「アーバンブリーフ」ですが、どのような経緯でご購入されたんですか?
安藤さん
ちょうど2年前に転職しまして。年齢も30になる頃で、これを機に、きちんとした仕事鞄が欲しいなと思って購入しました。
山添
なぜ黒を選んだんですか?
安藤さん
飽きがこないからですかね。実は茶色が好きで、プライベートで使うのは基本的に茶色のものが多いんですけど、ビジネスの場ではすっと背筋が伸びるようなものが欲しくて。あと、黒の鞄を一つ持っていれば何にでも使えるかなと。
山添
確かに、仕事鞄として定番の色ですよね。
安藤さん
そうですね。お得意さまのところへ伺うときに、この鞄を持って行くことが多いです。相手にきちんとした人と見られたいので。
山添
なるほど。確かにビジネスシーンでは初対面の印象が大切だと言いますよね。ビジネスパーソンの方って、他の人と鞄を比べるんですか?
安藤さん
他の人って、相手とってことですか? それとも街で見かける誰かと?
山添
時計とか万年筆とかは、割と分かりやすいかなと思うんですけど。
安藤さん
あー、持ち物がステータスの象徴になる、みたいなことですよね。僕は誰かと競ったことはないですけど、洋服とか小物とかの持ち物は、ある年齢から急に今使っているものを格好悪く感じるタイミングがあって。例えば、20代の前半は格好良いと思っていた洋服が、20代後半くらいから少し恥ずかしくなる感じです。
山添
卒業するような?
安藤さん
そうです、そうです。なんだか“若い”って感じがするんですよね。今持っているものは、そんなタイミングで変えた気がします。この鞄は30代で持っていても安心するというか、大人の鞄だなと。
山添
僕たち土屋鞄としては、卒業されないブランドを目指したいです。
安藤さん
つくる側としてはそうですよね。この鞄は、40代になっても持ってるイメージができます。
▲ 安藤さんの鞄の中身
1「コードバン 長財布」2「ディアリオ ツインコインケース」 3「コードバン 名刺入れ」
山添
ありがたいです。ちなみに鞄の中には、どんなものを入れていますか?
安藤さん
財布や名刺入れなどの小物類と、仕事用のノートやファイルとかですね。あっ、小物類は土屋鞄のものを使っていますよ。
山添
ありがとうございます。これは「コードバン」と「ディアリオ」の小物ですね。
安藤さん
そうです。
山添
つやつやですね〜。
安藤さん
毎日使っているので。これは僕のこだわりなんですけど、鞄には、あまりものを入れずにシャープな状態で使いたいんです。だから、ビジネスパーソンがよく持ち歩くアイテムのノートパソコンは入れていません。そのほうが鞄が膨らみすぎなくて、格好良いのかなと。
山添
鞄に負担を掛けないように、少し気を使いながら?
安藤さん
そうですね。
山添
ちなみに、この鞄のお気に入りのところはありますか?
安藤さん
仕事鞄として王道の印象を受けたことと、あとは持ち手の重厚感です。
山添
他の鞄と比べてみて、持ち手のことで何か違いなどは感じますか?
安藤さん
安定感、安心感・・・みたいなところですね。単純に太くて、しっかりした革というところ。特に、鞄と持ち手とのつなぎ目である金具の部分です。他の鞄だと、この部分からくたびれてしまうことが多くて。持ち手がだめになって、だんだんと使わなくなって、他の鞄に変える。この鞄だとその心配はなさそうです。
山添
嬉しいなあ。
安藤さん
(笑)。
味の違いを楽しむ
山添今日はせっかくの機会なので、僕の私物から「ウルバーノ」シリーズの財布を持ってきました。僕のは茶色ですけど・・・。
安藤さん
これ、僕の鞄と同じ革なんですか! 比べると、味の違いが目に見えて分かりますね。
山添
僕は財布をパンツのポケットに携帯してるんですけど、そうすると味わいが増しやすくなるんですよ。革が布地と擦れる摩擦だったり、革に伝わる体温だったりで。今は鞄にしまうことも増えたので、味の進み具合が遅くなったような気がします。常にポケットに入れていたときは、もっと色も濃かったような・・・。
安藤さん
そういうものなんですね。革の味って、使っているとき以外でも、保存状態とかで変わるんですか?
山添
ケースバイケースですね。革の種類や製品のおかれた環境、扱い方・・・いろんな要因が影響しますよ。僕の場合だと、鞄ではなく小物なので、おそらく熱や摩擦なんかの使い方からだと思います。ちなみに、お手入れはしてますか?
安藤さん
正直、全然・・・。軽く拭く程度で、お手入れというほどのことはできていません。
山添
雨にぬれたときは?
安藤さん
さっと拭いたら大丈夫かなって。
山添
この鞄は革にたっぷりオイルが入っているので、ぬれてもすぐに乾拭きをすれば、それほどひどい状態にはなりません。でも、防水スプレーはされたほうが安心ですね。
安藤さん
きちんとお手入れした方が良いですよね・・・?
山添
そうですねえ。使い方にもよるんですけど、もともと入っていたオイルが抜けてくると表面がカサカサするんです。そうなると、雨が染みるなどの傷みの原因にもつながるので、オイルケアはされたほうが安心ですね。だいたい1〜2ヶ月に一度くらいケアすると良いですよ。僕は光沢を出したいなって思ったときにもオイルを塗ったりしています。愛着が増すことはもちろん、毎日使うものだから単純にきれいになるし、良い気分転換にもなるんですよ。
安藤さん
確かに心機一転にもなって、気持ち良くなりそう。さっそくオイルを買って、やってみます!
スタッフ・山添の
メンテナンス講座
今日はケア製品を持ってきたので、一緒にメンテナンスをしてみましょう。
安藤さん
はい、お願いします!
山添
まずは、鞄全体を拭いていきます。拭かない状態のままオイルを塗ってしまうと、ほこりが付着することがあるので注意してくださいね。
安藤さん
いきなりオイルを塗るのはだめなんですね。知らなかった・・・!
山添
では次に、ブラシを使っていきます。この鞄の場合、パーツとパーツとの隙間にほこりが入っていることが多いので、しっかりと拭いてくださいね。
安藤さん
なんだか歯磨きみたい。ブラシは大事ですね。
山添
そうですね。ブラシでまずは表面を整えるイメージです。では、オイルを塗ってみましょうか。オイルは布に付けて塗るほうが、指に付けるよりも効率良くできます。この革は黒なので目立ちにくですけど、薄い色の革にオイルをべったりと塗ると、ファーストタッチでシミになることがあるので注意してください。
安藤さん
分かりました。
山添
こんなふうに、広く満遍なく拭いていきます。シボのある革の場合、鞄の中に手を入れて下から押し上げると、シボとシボの間の目地までしっかりとオイルを塗り込めますよ。鞄の中にものが入っていない、へこんだ状態で拭くとムラができてしまいます。
安藤さん
お〜、自分のものがどんどんきれいになっていくのが分かりますね。
山添
でしょう? 目に見えて変化が分かると楽しくなってきますよ。布に付けたオイルを鞄全体に塗った後は、ブラシを使って擦り込ませていきます。オイルが乾くと、革に入りきらなかった余分なものが白く浮き出てくるので、目地にしっかりとなじませましょう。あとは、パーツとパーツとの隙間にオイルが入っていない場合もあるので注意してみてください。
安藤さん
なるほど。
山添
革の弛みは少し引っ張って、ムラにならないように。仕上げに全体を、乾いた布でもう一度拭きます。ゴシゴシではなく、優しく。拭く作業は少し根気がいりますが、頑張りましょう!
安藤さん
すごい、つやつやになりました!
山添
触ってみたら、より分かるかと。
安藤さん
本当だ! カサカサな肌がしっとりしたみたい。
山添
裏面もやってみましょう。こちらの場合はつなぎ(鞄中央の革と革の繋ぎ目の部分)が入っているので、この間にほこりがたまりやすいです。
安藤さん
こんな感じでしょうか?
山添
そうそう。クリームは布に付けて、すーっと広げる感じで全体に塗ります。角や辺のところを重点的に擦り込むと仕上げが良くなりますよ。このクリームは乾くのが速いので、塗り終えて表面がさらさらな状態になったら大丈夫です。この状態のままだと、少し溝が白くなっていてオイルが残っているので、全体的に広げましょう。
安藤さん
こうやって手順を教えてもらえる機会はなかなかないので、とても嬉しいです。家に帰ったら他の革小物を自分で磨いてみます!
山添
それでしたら、ブラシがあると良いと思いますよ。ほこりをさっと払ったり、仕上げに磨いたり。パーツの隙間などの細かいところを掃除するときなど、あると便利ですし。ちなみに、土屋鞄の店舗に製品をお持ちいただければ、スタッフがお手入れのレクチャーもします。どうぞお気軽にお越しくださいね。
安藤さん
それは嬉しい! 今度、伺います。
山添
そうそう、毎日使う仕事鞄は持ち手の部分が手の汗や汚れで傷みやすいんです。全体は大変ですけど、まずはパーツをケアしてみるのもありですよ。
安藤さん
はい、やってみます。革の鞄って、自分で手入れしながら、長く使えるところが良いですね。・・・うん、良いな!
山添
(笑)。革は、愛です。
安藤さん
うん、愛ですね。手入れは愛、革は愛。
山添
ははは、名言が出てしまいましたね(笑)。
安藤さん
そうですか? なんだか、中身があるようでないような・・・(笑)。今日はとても勉強になりました。これを機会に、継続的に手入れをするようにします。ありがとうございました。
山添
こちらこそ、ありがとうございました。
初対面とは思えないほど、和やかな雰囲気で幕を閉じた今回の対談。スタッフ・山添のメンテナンス講座では、周りにいた土屋鞄スタッフが「なるほど」と、うなずく場面も。皆さまも、愛用されている製品をケアしてみてはいかがでしょうか。
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安藤 尚人さん
外資系消費財メーカー勤務
マーケティング部に所属し、デジタル・データ・Eコマースの活用などを中心に新しい形の消費財マーケティングを模索中。「ウルバーノ アーバンブリーフ」をはじめ「コードバン」や「ディアリオ」シリーズなど、土屋鞄の革製品を愛用している。
山添 剛
土屋鞄製造所 ライター
WEBを中心に、土屋鞄に関わるコンテンツの企画・テキストを担当。革や革製品についての知識量の豊富さは、スタッフから一目置かれるほど。