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知れば知るほど、奥が深い革の世界。思わず誰かに話したくなるような、
革などにまつわるエピソードや
まめ知識を連載でお届けします。

知れば知るほど、奥が深い革の世界。
思わず誰かに話したくなるような、

革などにまつわるエピソードや
まめ知識を連載でお届けします。

今から1300年以上も前、当時の中国・唐の皇帝を虜(とりこ)にした世界三大美女の一人、楊貴妃(719〜756)。その彼女が、美しさを保つために密かに服用していたという生薬があります。それが、今でも高級漢方として知られる「阿膠(アキョウ)」です。これはなんとロバの皮を煮込んでつくったゼラチンの一種で、細胞や血液の健康に必要なアミノ酸などが豊富に含まれています。

この「阿膠」は中国で貴族階級の女性たちの秘薬として服用され、滋養強壮や新陳代謝の活性化、肌や髪の保湿などに効果があるとされていたようです。なかでも最も有名なのは、清朝の第10代皇帝・同治帝の母である西太后(1835〜1908)のエピソード。若い頃、なかなか子宝に恵まれなかった彼女がこの「阿膠」を服用したところ、見事に世継ぎの出産に成功したのだそうです。

2000年のシドニー五輪・競泳では、日本選手が銀・銅合わせて4つのメダルを獲得。このとき、好成績を後押ししたのがM社の新型水着でした。この水着の特徴は、縫い目なしで体全体を覆うデザインと、さめ肌のザラザラした「楯鱗(じゅんりん)」構造を生地に取り入れたこと。生地表面に、楯鱗と似たV字型の微小な突起を無数に埋め込んでいたのです。

こうして表面をさめ肌状態にすると、泳ぐ際に体表面に微細な渦が発生し、それが浮力や推進力を向上させるのだとか。この効果はすでにNASAの航空実験で実証されていましたが、水着に転用するのには4年もかかったそうです。なお、このさめ肌水着、あまりに高性能過ぎて現在では使用が禁止されています。そんな優れた装備を、サメたちは何万年も前から身に着けていたのです。

サッカーボールがほとんど人工皮革でつくられるのに対し、いまだに本革でつくられるのが野球の硬球です。硬球は中心にコルクがあり、その周りをゴムが包んで、さらに毛糸や綿糸でぐるぐるに巻いてあります。そして最後にその周りを2枚の牛革で包み、108目のステッチで縫合します。

日本で使われる硬球の革は、90%が兵庫県・姫路市での製造。乳牛種であるホルスタインの雄の原皮を、アルミニウムやホルマリンを使う特殊な方法で芯まで真っ白に鞣します。ちなみにプロ野球用には、安定した革質の背中部分を使用。さらに社会人・大学・高校……と下がるにつれて、革のグレードが低くなります。なおサインボールには、革質の緩いお腹の革が使われています。

沖縄から奄美諸島にかけての地域で親しまれている「三線」という弦楽器は、「蛇皮線」という俗称の通り、蛇の皮が張られています。この蛇皮は沖縄にいる毒蛇・ハブの皮ではなく、わざわざ東南アジアなどから大型のニシキ蛇の皮を輸入して使っていますが、それはハブの皮では小さすぎて胴に張れないためです。

三線に張られている蛇皮は鞣されたのではなく、自然乾燥でつくられたものですので非常に繊細です。そのため長期間使わないときには、ハブから採ったオイルを塗るのだそう。最近では、その面倒をなくすために、蛇柄がプリントされた人工素材を張ったものも見かけますが、音の響きが劣るため、今でもプロ奏者は蛇皮の三線を使うことが多いようです。

今から1300年以上も前、当時の中国・唐の皇帝を虜(とりこ)にした世界三大美女の一人、楊貴妃(719〜756)。その彼女が、美しさを保つために密かに服用していたという生薬があります。それが、今でも高級漢方として知られる「阿膠(アキョウ)」です。これはなんとロバの皮を煮込んでつくったゼラチンの一種で、細胞や血液の健康に必要なアミノ酸などが豊富に含まれています。

この「阿膠」は中国で貴族階級の女性たちの秘薬として服用され、滋養強壮や新陳代謝の活性化、肌や髪の保湿などに効果があるとされていたようです。なかでも最も有名なのは、清朝の第10代皇帝・同治帝の母である西太后(1835〜1908)のエピソード。若い頃、なかなか子宝に恵まれなかった彼女がこの「阿膠」を服用したところ、見事に世継ぎの出産に成功したのだそうです。

2000年のシドニー五輪・競泳では、日本選手が銀・銅合わせて4つのメダルを獲得。このとき、好成績を後押ししたのがM社の新型水着でした。この水着の特徴は、縫い目なしで体全体を覆うデザインと、さめ肌のザラザラした「楯鱗(じゅんりん)」構造を生地に取り入れたこと。生地表面に、楯鱗と似たV字型の微小な突起を無数に埋め込んでいたのです。

こうして表面をさめ肌状態にすると、泳ぐ際に体表面に微細な渦が発生し、それが浮力や推進力を向上させるのだとか。この効果はすでにNASAの航空実験で実証されていましたが、水着に転用するのには4年もかかったそうです。なお、このさめ肌水着、あまりに高性能過ぎて現在では使用が禁止されています。そんな優れた装備を、サメたちは何万年も前から身に着けていたのです。

サッカーボールがほとんど人工皮革でつくられるのに対し、いまだに本革でつくられるのが野球の硬球です。硬球は中心にコルクがあり、その周りをゴムが包んで、さらに毛糸や綿糸でぐるぐるに巻いてあります。そして最後にその周りを2枚の牛革で包み、108目のステッチで縫合します。

日本で使われる硬球の革は、90%が兵庫県・姫路市での製造。乳牛種であるホルスタインの雄の原皮を、アルミニウムやホルマリンを使う特殊な方法で芯まで真っ白に鞣します。ちなみにプロ野球用には、安定した革質の背中部分を使用。さらに社会人・大学・高校……と下がるにつれて、革のグレードが低くなります。なおサインボールには、革質の緩いお腹の革が使われています。

 

沖縄から奄美諸島にかけての地域で親しまれている「三線」という弦楽器は、「蛇皮線」という俗称の通り、の皮が張られています。この蛇皮は沖縄にいる毒蛇・ハブの皮ではなく、わざわざ東南アジアなどから大型のニシキ蛇の皮を輸入して使っていますが、それはハブの皮では小さすぎて胴に張れないためです。

三線に張られている蛇皮は鞣されたのではなく、自然乾燥でつくられたものですので非常に繊細です。そのため長期間使わないときには、ハブから採ったオイルを塗るのだそう。最近では、その面倒をなくすために、蛇柄がプリントされた人工素材を張ったものも見かけますが、音の響きが劣るため、今でもプロ奏者は蛇皮の三線を使うことが多いようです。