「マグナス」
そのエレガンスの源。
紳士の格調を高める、優雅な仕事の相棒「マグナス ファスナートップブリーフ」。その佇まいに漂う品格は、どのようにして生み出されるのだろうか。ここでは、これまで詳しくお見せできなかった職人のこだわりをご覧いただきたい。
「マグナス」
そのエレガンスの源。
紳士の格調を高める、優雅な仕事の相棒「マグナス ファスナートップブリーフ」。その佇まいに漂う品格は、どのようにして生み出されるのだろうか。ここでは、これまで詳しくお見せできなかった職人のこだわりをご覧いただきたい。
品格を増す、美しいコバのライン
この鞄にエレガンスを纏わせているのは、優雅なシルエットに流れる美しいコバのラインだ。メイン収納とその外側の前胴・背胴の二重構造になっているこの鞄は、普通のブリーフケースと比べ、コバの総距離がほぼ2倍。その分、コバ塗りの仕上がりが鞄の印象に直結し、美しく仕上げるほど品格がもたらされる。
まず大事なのは、コバを塗る前の下仕上げだ。革を貼り合わせるとコバに微妙な凹凸が生じるので、丁寧に磨いて滑らかに整えておく。また、革が重なり合う部分はそこだけ幅が膨らみがちなので、あらかじめ漉きを施し、周辺と同じようなコバの幅になるよう整えなければいけない。(写真右下①参照)
この鞄が特別なのは、構造が複雑なので、パーツを組み上げる合間に何度もコバ塗りをしなければならないことだ。まずはメイン収納、次いで正面と背面、最後は底辺と角の部分という具合。その際、パーツが重なり合う部分に段差が生じるので、その継ぎ目が見えないよう滑らかに仕上げる必要がある。そうした地道な作業を最後までやり切る、当たり前のことがとても大切なのだ。
この鞄にエレガンスを纏わせているのは、優雅なシルエットに流れる美しいコバのラインだ。メイン収納とその外側の前胴・背胴の二重構造になっているこの鞄は、普通のブリーフケースと比べ、コバの総距離がほぼ2倍。その分、コバ塗りの仕上がりが鞄の印象に直結し、美しく仕上げるほど品格がもたらされる。
まず大事なのは、コバを塗る前の下仕上げだ。革を貼り合わせるとコバに微妙な凹凸が生じるので、丁寧に磨いて滑らかに整えておく。また、革が重なり合う部分はそこだけ幅が膨らみがちなので、あらかじめ漉きを施し、周辺と同じようなコバの幅になるよう整えなければいけない。(写真右下①参照)
この鞄が特別なのは、構造が複雑なので、パーツを組み上げる合間に何度もコバ塗りをしなければならないことだ。まずはメイン収納、次いで正面と背面、最後は底辺と角の部分という具合。その際、パーツが重なり合う部分に段差が生じるので、その継ぎ目が見えないよう滑らかに仕上げる必要がある。そうした地道な作業を最後までやり切る、当たり前のことがとても大切なのだ。
機能と美意識を兼ね備えた、二重の箱型構造
この鞄は大きな外ポケットを前後に配するため、メイン収納の外側にササマチで胴板を付けるという、二重の箱型構造になっている。これは実質的に、二重のブリーフケースをつくる感覚だ。実際、革の量は通常のブリーフケースの倍近くになるが、この構造がもたらすのはそれだけではない。作業の工程と時間も、格段に増してしまうのだ。
二重の箱型構造であるこの鞄は、ヌメ革の堅さも加わって、設計的な余裕が極端に少ない。そのため、製造には他の鞄以上に高い精度が要求される。特に、外ポケットのマグネットホックやファスナーの取り付けは、前後や左右で対になっているので、ほんの僅かなズレも許されない。しかも、全体を組み上げてみないとその正誤が判定できないので、最後の最後まで気を抜けない作業となっている。
この鞄は大きな外ポケットを前後に配するため、メイン収納の外側にササマチで胴板を付けるという、二重の箱型構造になっている。これは実質的に、二重のブリーフケースをつくる感覚だ。実際、革の量は通常のブリーフケースの倍近くになるが、この構造がもたらすのはそれだけではない。作業の工程と時間も、格段に増してしまうのだ。
二重の箱型構造であるこの鞄は、ヌメ革の堅さも加わって、設計的な余裕が極端に少ない。そのため、製造には他の鞄以上に高い精度が要求される。特に、外ポケットのマグネットホックやファスナーの取り付けは、前後や左右で対になっているので、ほんの僅かなズレも許されない。しかも、全体を組み上げてみないとその正誤が判定できないので、最後の最後まで気を抜けない作業となっている。
圧倒的な存在感を放つ、一枚革の贅沢さ
この鞄のメイン素材は、ナチュラルな風合いと豊かな表情を持ち、味わいのあるエイジングをする「イタリアンショルダーヌメ革」。その魅力をたっぷりと味わっていただくために、正面と背面に大きな一枚革を用いた。まさにこの革の魅力を活かすためのもので、手にするだけで圧倒的な存在感を示してくれる。
だがその一枚革を裁断するには、実はその面積よりはるかに大きな革が必要となる。革には強度や美観を損なう深い傷などが散在しているので、裁断するときにはそれらを避けなければならない。パーツが大きいほど傷の部分に掛かる可能性が高くなるので、採り方が難しくなるのだ。そのため、大きな一枚革を取り入れることは非常に贅沢な仕様となっているのである。
しかも、この鞄の革はその名の通り肩部分だけしかない。そのため元の面積が小さく、大きな一枚革がいっそう取りにくくなっているのだ。さらにこの一枚革の場合には、革の線維の方向を考慮して裁断の仕方に制限まである。そのため通常の2倍の量の革が必要となり、元の革一枚からは多くても3枚分しか裁断できない。この鞄の革使いは見た目にも十分に贅沢なものだが、実際にはそれ以上に豪勢なものなのだ。
この鞄のメイン素材は、ナチュラルな風合いと豊かな表情を持ち、味わいのあるエイジングをする「イタリアンショルダーヌメ革」。その魅力をたっぷりと味わっていただくために、正面と背面に大きな一枚革を用いた。まさにこの革の魅力を活かすためのもので、手にするだけで圧倒的な存在感を示してくれる。
だがその一枚革を裁断するには、実はその面積よりはるかに大きな革が必要となる。革には強度や美観を損なう深い傷などが散在しているので、裁断するときにはそれらを避けなければならない。パーツが大きいほど傷の部分に掛かる可能性が高くなるので、採り方が難しくなるのだ。そのため、大きな一枚革を取り入れることは非常に贅沢な仕様となっているのである。
しかも、この鞄の革はその名の通り肩部分だけしかない。そのため元の面積が小さく、大きな一枚革がいっそう取りにくくなっているのだ。さらにこの一枚革の場合には、革の線維の方向を考慮して裁断の仕方に制限まである。そのため通常の2倍の量の革が必要となり、元の革一枚からは多くても3枚分しか裁断できない。この鞄の革使いは見た目にも十分に贅沢なものだが、実際にはそれ以上に豪勢なものなのだ。
最善を求める、ディテールへのこだわり
この鞄の品格を語るには、ディテールにも言及しなければならない。中でも特筆すべきは、ハンドルの根革(付け根部分)だろう。正面から見たときに唯一のアクセントとなるこのパーツには、中に芯材を仕込んでボリューム感を出す「肉盛り」という技法が使われている。これ自体は珍しくないのだが、その芯材に厚手の「銀付き革」を使っているのが職人のこだわりだ。
肉盛りの芯材にはビニールなどの人工素材や、床革という、革の裏側の柔らかな線維層が使われることが多い。しかしこの鞄では、人工素材だと固すぎて角が出すぎ、床革では柔らかすぎて輪郭がはっきり出ず、向かないと判断。そこで、線維質の上に引き締まった銀面が乗る銀付き革を採用した。この職人のこだわりが、端正に浮き出しながら優美さも感じさせる肉盛りを可能にしたのだ。
全体からすれば、根革の肉盛りなどささやかな問題かもしれない。しかし、そうした細部にいたるまで審美眼をこらし、最善を求める職人の心意気がこの鞄には詰まっているのである。
肉盛りの芯材にはビニールなどの人工素材や、床革という、革の裏側の柔らかな線維層が使われることが多い。しかしこの鞄では、人工素材だと固すぎて角が出すぎ、床革では柔らかすぎて輪郭がはっきり出ず、向かないと判断。そこで、線維質の上に引き締まった銀面が乗る銀付き革を採用した。この職人のこだわりが、端正に浮き出しながら優美さも感じさせる肉盛りを可能にしたのだ。
全体からすれば、根革の肉盛りなどささやかな問題かもしれない。しかし、そうした細部にいたるまで審美眼をこらし、最善を求める職人の心意気がこの鞄には詰まっているのである。
下仕上げや細部へのこだわりに費やされた時間や労力は、ほとんど目につかない。だがそれらは、品格やエレガンスとして「感じられる」ものとなっている。そうした背景を知っていただくことでこの鞄への信頼が増し、そして何より愛着が深まるのであれば幸いだ。
下仕上げや細部へのこだわりに費やされた時間や労力は、ほとんど目につかない。だがそれらは、品格やエレガンスとして「感じられる」ものとなっている。そうした背景を知っていただくことでこの鞄への信頼が増し、そして何より愛着が深まるのであれば幸いだ。