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【Craftmanship】
道具によって引き出される
“その先のクオリティ”を求めて

2023.05.29

永く愛用したいという思いに
丁寧に寄り添う姿勢
 「時を超えて愛される価値をつくる」

小さな道具に詰まった、
職人の大きなこだわり
【職人歴24年・丸】の道具

職人の手先として働く道具は、どれ一つとして同じものがありません。
修理に届くお客さまのご愛用品の"明日"をつくる道具には、それぞれが自分の使いやすいように細かく工夫を凝らし、こだわりがたくさん詰まっています。そうした道具の中でも、一番職人の個性が出やすいのが「ヘラ」だと、丸は語ります。

職人の個性が出やすい道具
「指先の代わり」


「ヘラ」は職人の指先代わりとして、直線や曲線、平面などパーツの立体感をきれいに決め出す際に使用します。最も活躍するシーンは、革と革を貼り付ける糊塗りと、糊塗りしたの圧着作業。他に指先だけでは対応できない細かく繊細な作業では「ヘラ」が欠かせません。

そのような「指先代わり」の道具だからこそ、職人それぞれの手の形や大きさ、力の入れ方や持ち方のクセに合わせて、使いやすい形も当然、三者三様になります。そこで職人たちは、既成のヘラを自分に合わせてアレンジしたり、竹材から自作したりして使っているのだそうです。

象牙を削って自作した、
こだわりの「ヘラ」

職人の中でも人一倍道具にこだわる丸が使っているヘラは、どのようなものでしょうか。なんと、全て自身で素材から選び、自分好みの形に削り出したオリジナルのものだそうです。そのどれもが、これまた自作のレザーケースに丁寧に収納されており、丸の道具に対する愛情が伝わってきます。

中でも一番気に入っているというヘラは、象牙を削って自作したもの。既製品では竹や牛骨、プラスチック製がありますが、丸は象牙の端材を調達し、長さや厚みにこだわり、自身の手にしっくりとなじむまで何度も削って、世界に一つだけの「指先代わり」をつくります。

丸が象牙にこだわるのは、きわめて肌理が細かくて密度が高いため、滑らかに磨き上げれば革の表面に傷をつけないという利点が1つ。もう1つは、硬いのにしなやかで弾力性もあるため、本当に自分の指先を使っているかのように、繊細な作業がしやすいということからです。そして何より、手にしたときの感触が、一体感が、象牙とプラスチックとでは全然違うのだそう。「その微妙な感覚の部分だけでも、修理の質にも影響を与えていると思う」と、丸は語ります。

職人の身体の一部であり、
知恵のカタチ

"ほんの少し"の差の積み重ねが、結果に大きな違いを生む。そのことを熟知しているからこそ、職人は新しい技術や道具を常に研究し、職人としてのベストを追求し続けます。もちろん、既製の道具でも質の高い修理を施すことはできますが、「より質の高い技術を追求したい」と思うからこそ、職人は道具にこだわり、仕事のクオリティをさらに高める努力を怠りません。

身体の一部であり、知恵のカタチでもある「道具」。職人たちは、それぞれ自分だけの相棒にこだわりながら、今日もまたお客さまのご愛用品と真摯に向き合い続けます。

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